「先生、あのね。拍手、とめたくない。」【はばたき】

附属静岡小学校に『はばたき』の子どもたちが入学し、早いもので1年が経とうとしています。自分たちで意見を交わしながら毎日を過ごし、成長してきました。2月には、子どもたちにとって大きな2つの行事がありました。「つどい」、そして「6年生を送る会」です。各学級隊長を中心に、2つの行事を並行して準備や練習を進めてきました。楽しみながら、苦しみながら、仲間と協力してつくり上げていく中には様々な「はばたき」の姿が見られました。保護者の皆様の目にはどう映ったでしょうか。

6年生を送る会本番、はばたきの子どもたちは自分たちの出し物を終えると、相棒の6年生の歌や言葉を体育館で聞きました。6年生から下級生へのメッセージと合奏・合唱を聞くと、自然と大きな拍手が体育館に鳴り響きました。暫くして拍手の音が鳴りやんだ時、Aさんが自分の場所を離れ、私のもとへ歩み寄ってきました。「どうしたの?」と声を掛けると、Aさんは「先生、あのね。拍手、とめたくない。」と、マスク越しでもわかる満面の笑顔で語り掛けてきました。『相棒の6年生の一生懸命な姿に心を打たれたんだな。』私はその子を見てそう思いました。そして『大好きな相棒さんの思い、生で味わうことができて良かったね』という思いで、自分の場所に戻っていくその子を見ていました。

6年生を送る会が終わり、はばたきの子どもたちは6年生と一緒に教室まで退場しました。私は6年生の教室でお別れした子どもたちと一緒に自分の教室に戻りました。そのとき、私の前を、体育館で声を掛けてくれたAさんが友達と話をしながら歩いていました。

友達(B)「Aちゃん、六送会楽しかったね。」

Aさん「うん。でも緊張したー!うまく言えたかなぁ…。」

友達(B)「分かる!ドキドキすると口がうまく動かないよね!『もっと開け!』って思っちゃうよ。」

ほほえましい会話が聞こえてくるなぁと後ろを歩いていると、その後の会話にはっとしました。

友達(B)「相棒さんの歌、すごかった!もう一回やってくれないかなぁ。」

Aさん 「上手だったね!でも、Bちゃんと一緒に頑張ったからだなーって、私、終わった後、相棒さ

んにじゃなくてBちゃんに拍手しちゃった!へへへ」

友達(B)「え?そうなの?何それ!ははは。」

「ねぇ?それってさっき先生に『拍手とめたくない』って教えてくれたときのこと?」と思わず声を掛けてしまいました。するとAさんは、「そうだよ。Bちゃんが頑張ってくれてたの先生も知ってるでしょ?Bちゃんが頑張ってくれた出し物の後にあんないい気持ちで聞けたんだから、Bちゃんに『拍手!』でしょ~。」と、Bさんを目の前にしている恥ずかしさからか、少しおどけて言いました。私は、二人の会話を聞いたとき、Bさんが日記に悩みを書いてきたとき、その悩みをAさんに相談していたことを思い出しました。Bさんは六送会の隊長でした。「6年生を送る会」に向けて進んでいく中には、様々な経験がありました。学校全体の行事ということもあり、自分たちがやりたいことだけで進んでいくのではなく、会全体を企画してくれている5年生の思い、学級を超えて学年で準備していくことに難しさを感じている姿が見られました。ある日、学級で出し物の練習をしました。すると、子ども一人一人の思いが同じ方向を向かず、徒に時間が経ってしまいました。その日のBさんの日記には「どうしたらみんな、同じくらい一生懸命になってくれるんだろう」と悩みが書き綴られていました。

Aさんは、並行して進めていた「つどい」の隊長でした。並行して準備していかなければならないこともあり、話し合いや練習の時間の調整をするために、隊長間で会話をする機会が多くありました。その際AさんとBさんは、隊長の仕事でうまくいかなかったことの悩み相談をし合っていました。会の最中、Aさんが伝えてくれた言葉の裏側には、自分も仲間も一生懸命に取り組んだからこその気付きがあったことに感動しました。

はばたきの子ども一人一人に、大きな「はばたきの羽」が見えた「つどい」と「六年生を送る会」でした。3月に入ると、1年生として学校に来るのはたった12日間です。2年生に向かって、さらに大きくはばたいていける3月にしていきましょう。残り僅かとなりましたが、どうぞよろしくお願いします。